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BLOG 2021.04.08

なぜ吹抜けがいるのか??@大野浦の家-M

大野浦の家ーM(M邸)、LDK道路側(南側)に吹抜けをとっています。
 
お隣にほぼ同じ条件で建つ分譲住宅、吹抜けがありません。
 
なぜ、M邸の設計では吹抜けをとったんでしょう?
 

採光する面(方位)というものは、総合的に考えて
(原則的には)南側がベストなんですね。(その理由はここでは割愛)
そうすると、この家でも南側に大きな窓が欲しいわけです、
 
実際、お隣さん(某社/分譲住宅)はリビングに大きな掃出し窓を設けています。

別にそれが悪いわけではありません。
おそらく、1Fに大きな掃出し窓をとったお隣さんと
1Fに小窓、吹抜けに小窓、というM邸と比べたとき
明るさ感にびっくりするほどの違いはないと思います。
 
それではM邸の場合、なぜ敢えて、吹抜けが必要だったのでしょう?
 

以前にもご紹介したよう
M邸では、設計初期段階からの大きなテーマとして
「安心感」を掲げました。
 
そして
市街地で、南側前面道路、約40坪という敷地条件では
リビング道路側に、お隣さんのような大きな掃出し窓を設けることは
テーマに沿わないと考えたんですね。
 
どうしてでしょう?
↓2つの例、ご紹介します。
 
*この話はよくするんですが、(特に分譲住宅の場合が多いのですが)
道路に面した大きな掃出し窓、年がら年中、カーテンが閉めっぱなし、という風景
見たことある方多いのではないでしょうか? 
 
 
*建築好きな方に、「ガラス張りの住宅って?」、というと
ドイツ人のミースファンデルローエによって設計されたファンズワース邸が、
1番目か2番目に出てくると思います。
ご存じない方はググってみてください。
 
360度ガラスに囲われたファンズワース邸、非常に美しい建物ですが
はたして、一晩過ごしてください、って言われたら?
ぞっとする方が多いのではないでしょうか?
つまりですね、
やっぱガラスより壁のほうが落ち着く、ってことです。
特に、ガラスの向こうがアスファルト道路の場合は、。
 
さてさて、いつにもまして非常に長い前置きの後は、ぱぱっと
写真を載せて冒頭の問いへの答えとさせていただきましょう。
 

 
IMG_5384

 

IMG_5383
 
間違い探しです。上下の違い、分かりますか?
正解は
道路側の窓。
上はブラインドを上げていて
下は下げて閉じています。
どうでしょう?
明るさ、ほとんど違いませんよね?
何が言いたいかというと、
極論、道路側の窓自体無かったとしても、全然暗くはないということです。
 
 
IMG_5357
 
IMG_5357
お隣さんは、この位置に大きな掃出し窓があります。
仮にM邸で、
もしもこの位置に大きな掃出し窓を取っていたとしても
おそらく安心感は段違いだったと思います。
なぜなら
敷地をゲートとフェンスで完全に囲っているからです。
これが、物理的な(目に見える)安心感というもので
M邸で、旭工務店が実現したかったものです。
 
 

さてさてM邸は
外構計画を筆頭に、
実は非常に保守的なプランをベースにしているわけですが
市街地における南側前面道路、という敷地条件でのプランニングにおいて
しばしば最大の課題となりうる
採光と、プライバシー(安心感)との両立、という問題に対するひとつの答えを示す
モデルケースとなりうると思っています。
 
もっというと、ハウスメーカーをはじめ、作る側(売り手)の都合/思惑で
リードされているトレンド(ここではオープン外構)に対する
強烈なカウンターとして
今後家を建てられる誰か、
に感じ取ってもらえるものがあればと祈っています。