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BLOG 2020.10.21
ディテール解説@柿の浦の家
週末に上棟を控えた柿の浦の家です。
先日化粧柱の選定についての記事をあげたので
ついでに、もう少し掘り下げてご紹介します。
未読の方は是非前回の記事をチェックしてみて下さい。
http://asahi-koumuten.com/blog/26679.html
コンクリートを打っている場所は、最終的にタイル仕上げとなる玄関ポーチなのですが、
へっこんでいるところがあるのが分かりますかね。
ここに独立の化粧柱が建ってくるのですが、
当たり前ですが、タイルに直接木の柱を建てるわけではありません。
専用の金物(脚柱金物)を使います。
通称、「ハイヒール」。
金物を設置する箇所を他よりへっこませているのはなぜでしょう?
これが、ヒト手間、ディテールへのこだわりというものになってくるわけですが
へっこませた場合と
へっませない場合、
最終的に仕上がったときの
ハイヒールのヒール部分の見える長さ(見え掛りの長さ)が変わってくるのがイメージできますかね?
へっこませたら、その分コンクリートに埋まる部分が長くなりますので、
ヒールの見える長さは短くなります。
上の図面でいうと、黄色の部分が見えるところ(見え掛り)、水色の部分が見えなくなるところ(見え隠れ)。
つまり、ヒールの見え掛りを短くするために
わざわざへっこませているわけです。
おそらく
メーカーさんとしては、そのまま使った姿(ヒールが長い)を良し、としているのでしょう。
そのまま設置して、短く見えるような製品は
既製品としては存在しません。(多分)
まぁ、見え掛りが長いのと短いのは
好みの問題もありますので、どちらが正解というものはありませんが
私どもとしては
通常の長さだとプロポーション的に美しくないと考えます。
比較してみないとどちらが良いとか分からないかもしれませんし
多分、何も思わない方も多いかもしれませんが
私どもとしては、もう圧倒的に、短いほうがカッコ良いと思っているんですね。
扇園の家 の例。
こういうヒト手間って、ほんのちょっとのことなのですが
設計、施工管理、施工 全ての工程で
地味にメンドウなヒト手間だったりします。
普通とは違う、というか普通ならやらないことをやるわけですからね。
例えば、設計面でいえば
普通の使い方をするのであれば上のような図面を書いて検討する必要はありません。
しかも、これをやるから普通より予算をもらえる、というようなものではありませんし
別にその手間を掛けなかったらクレームになるわけでも、ないんです。
ただこういうヒト手間が多ければ多いほど、
建物としては、より良いものになる、と私どもは信じています。
もちろん、無制限にヒト手間を追加していくわけにはいきませんので
そこはやっぱりメリハリ、
がんばりどころと、フツウでよいところ
の
判断が重要になってくるんだと思います。